兄ちゃん、ツラ貸しな?

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 だが。結論から言うと、答えは『是』なのだ。天音自身〝大好き〟と言うわけでもないけれど、千乃の顔は嫌いじゃない。  〝そこそこイケメン〟と言える程度には整っているから、しようと思えば、キスは出来ると思う………多分。 -とは言え。千乃とキスしたいとは思わない-  出来る=したい、じゃない。天音は未だに、自分好みの〝おっとりプチキュート系〟のと恋愛する気満々である。  結婚願望こそないけれど、恋愛願望はあるのだ。その恋愛が、ドラマティックであれば、言うことはない。  天音は〝夢見がち〟とまではいかないが、それ相応な〝ロマンチスト〟ではある。恋愛は幸せでキラキラな思いばかりではない、とわかっているけれど。  それでも、恋愛はしてみたいと思うのだ。傷付くような 、火傷する恋は嫌だけど………は出来れば『自分の総てを懸けられる恋』だといい。  天音の名の由来は、天上の音………『至上の音楽』と言う意味。だから、天音の恋は、類い稀なる音を奏でるような恋。  そして、偉大なる作曲家達は、哀しい…………悲劇的な恋の末に〝名曲〟と称される作品を残す。   -天音もきっと、傷付く恋をしてしまう-
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