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-その夜。清陵学院 学生寮 天音の部屋-
『天音………頼ってくれるのは吝かでもないんだが。俺は恋愛経験が豊富なわけではない。』
「そ、それはわかってます、雪夜さん。でも、やっぱり相談出来るのは、雪夜さんしかいなくって……………」
天音はまたしても、かの『蒼架の女帝 瀬能 雪夜』に電話した………と言うか、泣き付いた。
『でも、結局のところ。キスには至らなかったし、千乃くんは謝ってくれて〝明日には戻る〟と言ったのなら、それでいいだろう?』
「そんなぁ。俺の千への罪悪感が半端ないんです~。」
『そうは言うが、答えられないなら……って、待たんか。お前、どこ触って………んぁッ!』
雪夜の言葉が途切れたと思ったら、電話の向こうで抗議の言葉の後に、何とも言えない艶めいた声が聞こえた。
「……………///えっと、あ~その………お取り込み中、ですか?」
『な?いや、違っ///………だから、電話中だから、待てと言っとろうが。はぁ?〝どっちが大事〟って、女みたいなことを言うな!』
どうやら、雪夜の彼氏さんが〝天音と自分とどっちが大事〟か〟などと聞いたんだろう。
「…………あの、雪夜さん。やっぱり、お取り込み中だったんですよね。今日はこれで失礼します。」
『え?あ、いや………ちょっと待て、天音!』
雪夜の制止の声が聞こえたが、かまわず通話を切った。雪夜が振り回されている、と言うのは、どうやら本当だったらしい。
電話の最中に、あらぬところに触れてくるような雪夜の彼氏さんは、きっと雪夜を溺愛しているのだろう。
(雪夜さんの声、超色っぽかった。いいな~、愛されてるんだろうな~。)
雪夜ほどの妖艶美人なら〝ネコ〟であっても、違和感なしだろう。性格的には激攻めであっても。
と言うか、雪夜の場合。バイオレンスな攻めっぽいS受け、になっていそうだが。
天音は〝綺麗寄り〟だが、美形と言えるほどかどうか、と言うと微妙である。整っていると言えるが、美形と整っていると言うのは、同義ではない。
まぁ、系統から言えば、カテゴリー的には〝ネコ〟なんだろうが。相手が女の子や、わんこ達みたいな可愛い系なら、間違いなく、天音が〝タチ〟だと思われる。
千乃は『天音が〝ネコ〟にならなければいい』と言っていたので、女の子やわんこ達みたいな可愛い系と付き合うのなら、何も言わないんだろう。
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