兄ちゃん、ツラ貸しな?

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 恐らく。親衛隊のわんこ達が『天音様を襲おうとした不届き者』だと言って、風紀につき出したのは、そう言う連中だったのだろう。  親衛隊でありながら、〝抱きたいランキング〟の1位になり、襲われるであろう危険性がある天音は、風紀の中では(逆の意味での)『要注意人物』と目されている。  だからこそ。神宮も天音のことを覚えていたし、天音を襲おうとした者を〝物好き〟だとは思わなかった。  そもそも。天音が言うように、天音を襲おうとする者達が〝物好き〟ならば、学院の生徒の過半数が〝物好き〟と判じられてしまうだろうに………。 -それは、ともかく。それでも、天音と千乃が〝そう言う関係〟になることはあり得ない。  天音は勿論、何よりも千乃がを望んでいない。あの時。衝動的に躰が動いたが、直前で思い留まれるほど、千乃は天音を大切に想っているからだ。焦がれるほどに想っていても、恋をすることさえも出来ない  千乃にとって、天音は〝聖域〟で、繊細なガラス細工のような存在。不用意に触れれば、音を立てて粉々に砕け散ってしまう。      -陽炎・稲妻・水の月-
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