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透色の四阿
どれくらい時が経ったのか覚えていない。大した時間でもない気もするし、かなり長い時間経ったような気もする。ただ一時間に二、三本のバスを二本ほどやり過ごしているのは慥かで、そういう点では(帰宅途中としては)長い時間を過ごしているのかもしれなかった。
いずれにしろ彼女らの居る四阿風のバスの待合所は、二人が傘をたたんで軒下に入った時から透明な細糸の流れ落つるただ中にあった。
四阿に寄りそうように枝をのばす柳木にも、足下のやわらかい紫雲英やすみれ草にも、雨だれはひたすらにやさしく滴り降りた。微かに花弁をのこす新緑の葉の先から翡翠を宿らせた雨露が、少女等の談話にまろく間の手をいれる。
セミロングのつややかな髪と長い三つ編み少女らは、胸のあたりにピンタックのあるオフホワイトのブラウスに春宵のような淡い群青のワンピースという揃いの出で立ちで、濃い焦げ茶色のかばんに、各々さくらんぼといちごのキーホルダーをつけていた。
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