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僕が初めて彼女に出会ったのは、とある施設でのことだった。
ちょうど彼女と同じくらいの年齢の子どもを探していたらしく、父がそこの研究員だったこともあり、僕が選ばれた。
それが、僕と彼女の最初。
初めて彼女を見た時のことは今でも鮮明に覚えてる。
もちろん今までのことは全部覚えてるし、これからのことだって忘れる気はさらさらないんだけど、その中でも特に、印象的だった。
夜の闇を溶かしこんだような闇色の髪と、宇宙を閉じ込めたみたいなきらきらした星空の瞳。
その時思ったんだ。宇宙みたいだって。
ちょっと詩的すぎるかなとも思うけど、それが僕の率直な感想。
僕は女の子の友達なんていた事ないから照れちゃって、ずっとモジモジしてた。
「はじめまして!」
けど、彼女はそう言ってガラス越しの僕に太陽みたいな笑顔を向けてくれたんだ。
え?カッコつけすぎじゃないかって?僕もそう思うんだけどさ、君だって彼女の笑顔を見たらわかるよ、僕の気持ち。
あぁ、ごめんごめん。話がそれちゃったね。
彼女がいたのは、──僕の父親が研究員だったって話でわかるかと思うけど、何かを研究する施設みたいなところだったんだ。
なんの研究をしてるかは知らない。
聞くべきじゃないのは、子どもの僕にもわかったからね。
僕の仕事は彼女と話して、仲良くする。ただそれだけ。それ以上は踏み込んじゃないけない。
最初はちょっと心配だったけどね、大丈夫だったよ。
夜の女王みたいな見た目に反して彼女は明るくて、キレイで、話してて全くあきなかったんだ。
それから僕らは毎日会って、たくさんいろんなことを話した。
だから、僕は彼女のことならなんでも知ってるし、彼女だって同じはずだ。
だから、わかっちゃったんだよ。彼女が、きっとこうするだろうってことがさ。
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