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チラリ、と彼女を見ると、ポカンと口を開けている。
「えっ、いま何て?」
「だから!慶と凛ちゃんが義兄妹で、付き合ってて、この春から2人で住んでんの!」
「ええっ?」
私の顔と慶の顔を交互に見比べる彼女。そして慶に向かって尋ねた。
「つ、付き合ってるの?」
「うん、」
その返事を聞いて、彼女は私に向き直った。
「り、凛子、紹介してくれるって言ったじゃん…!」
「え?だから今、紹介を…」
「そういう意味じゃなくて!」
そのやり取りを見ていた慶が、吹き出した。
「ごめん、凛の恋愛偏差値は極端に低いから。紹介の意味を分かってないんだよ」
私の頭の上にはハテナがたくさん浮かんでいた。ケインくんに、「凛ちゃんって天然?」と言われたが、ケインくんだけには言われたくない。
「凛、こういう時の紹介って言うのはな、お付き合いを前提に連絡先を交換しましょう、みたいな…いわゆるお見合いみたいな意味なんだよ」
「えっ、そうだったの?」
だったら私がした事は無神経過ぎて、自分でビックリした。そして次に罪悪感がやって来る。
「ご、ごめん、全然意味分かってなくて…」
「良いよ良いよ、私もごめんね?」
瑠璃は笑って許してくれた。
「まあでも、ここで会ったのも何かの縁だし、連絡先交換しよっ!」
「そうだな!そうしよう!」
瑠璃とケインくんがスマホを差し出したので、私と慶も出した。
この出会いが、後々波乱を呼ぶことになる。
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