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扉を開けると、瀬戸が早速 茶化した。
「水も滴る良い男じゃん!どしたの?」
「…シャワー浴びてたから、」
「えっ、こんな時間に?」
「さっきまで公園行ってたから、汗かいて…」
苦し紛れに言い訳をしていると、健司が呟いた。
「凛ちゃんは?」
「えっ、ああ…いま、交代したとこ…」
瀬戸の片眉が動いた気がしたから、「とにかく入れよ」と促す。すると凛がちょうど出てきたところだった。
「い、いらっしゃい…!」
不自然な笑顔で挨拶すると、瀬戸がわざとらしく言った。
「この部屋、暑くない?」
そう言えば冷房をかけていなかった事に気付いて、慌てて電源を入れる。後ろで瀬戸が忍び笑う気配がした。
「ご、ごめんね、すぐ用意するから…!」
髪も濡れたまま、バタバタとキッチンに向かう凛。その背中を見ながら、瀬戸が「凛子が準備出来てないなんて珍しいね?」と言うから、思わず睨みつけてしまった。
「どう?いいアシストだった?」
想像してた通りのニヤケ顔に、思わず溜め息を吐く。
「…まあ、悪くは無かったよ、」
そう答えたら、とうとう吹き出して笑われて。健司が「俺も話に入れてくれよっ!」と喚いたけど、とりあえず無視した。
【つづく】
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