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「…なんか、馬鹿らしくなってきた」
隣で、慶が呟く。
「結局、4年間邪魔されっ放しだな」
そして、身を起こした。
「…続きは家でしよ、」
スッと顔が近付いて、頬に唇が触れた。
と思ったら、彼が立ち上がって。ドアの方に姿を消した。
ガチャ、と音がして、それと同時に瑠璃が「わっ!慶くん!ごめんっ!」と反射的に声を上げたのが聞こえた。
「入れよ、今日は4人でこっちで寝ようぜ」
呆れたような、慶の声。
「え、良いの?」
聞き返した瑠璃の声は、明らかに嬉しそうだった。
「卒業旅行だろ。こうやって4人で集まれるのも、きっと減ると思うし。枕と掛け布団持って来いよ」
食い気味に、2人の「やった!」という明るい声がして。バタバタと足音がしたと思うと、3人揃って部屋に入って来た。
その日は4人とも、朝まで起きていた。
下らない思い出話をしたり、ケインくんが張り切って持ってきたボードゲームやカードゲームをしたり。
慶に言わせれば、「俺達は結局こうなる」らしい。
…最後の夜は、やっと2人きりになれたけど。
その5日後、彼と両親と親友カップルに見送られて、私はアメリカに旅立った。
【つづく】
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