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「…ッ、えっ!?」
凛は、明らかに戸惑った表情を見せた。
「な、何で?」
「何でって…俺達、何年付き合ってると思ってんの?」
いつか、俺の誕生日に背中を流してくれた以来、彼女とお風呂に入った経験は無い。て言うか、あれも一緒に入ったに計算しない事案だけど。
俺達、今日から夫婦なんだし。
風呂くらい一緒に入りたい。
「ダメ?」
「だ、ダメだよ!絶対ダメ!」
「…何で?」
「は!恥ずかしいから!絶対、ダメだから!」
もう何回も、それも隈なく眺めたのに。何を今更恥ずかしがってんだか。
ま、それも彼女の可愛いところだけど。
「俺、奥さんに背中流してもらうのが夢だったのにな…」
勿論こんなことを言ったのは、わざとだ。
こんな風に寂しそうに「夢だった」なんて言ったら、
「…そ、そんなこと言われても…、」
途端にモジモジし出す、凛。
さっきまで「絶対嫌」だったくせに、優しい彼女は俺に合わせようとしてくれる。
「…な、良いだろ?電気は暗くするからさ、」
ダメ押しで、抱きしめながらそうお願いしたら、彼女は腕の中で小さく頷いた。
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