凛の秘密③

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「…手ェ出して」 そう言われたので、右の手のひらを差し出す。すると気に入らない、といった顔をされた。 「反対、」 「?」 不思議に思って、今度は反対の手のひらを出す。 すると彼はその手を裏返して、薬指に指輪をはめた。何の飾りもない、シンプルなシルバーリング。 それを見た瑠璃とケインくんが、「ひゃー!」みたいな冷やかしの声を出す。総二さんとお母さんは、クスクス笑いながら温かい目でこちらを見ていた。 「男避け、」 そう言って目を逸らすから、人目も憚らずに抱き着きそうになった。愛しくて仕方ない。 「い、いつ買ったの、」 「…いつでも良いだろ、」 「高くなかった?」 「…バイト代。こういう時の為に貯めてたから」 「わ、私よりも慶に女避けが要るでしょ、」 「…っせーな、ペアだよ。俺もするから」 そんなに照れるなら、しなきゃ良いのに、なんて。面白くて、思わず笑ってしまった。 「2年なんてすぐだよ。毎日連絡するね、」 「…おう、じゃあな」 そう言って、わしゃわしゃと頭を撫でられた。 こんなところに指輪なんてした事が無いから、薬指がこそばゆい。 みんなに背中を押されて、私はアメリカに出発した。 【つづく】
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