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帰国①
朝からソワソワしていた。
待ちに待っていたこの日。2年前の8月30日から今日まで、本当に長かった。
今日、凛が帰って来る。
毎日メールや電話はしていたけど、頑なにテレビ電話はしてくれないし、送ってくれた写真に彼女が写っていることは無かったから、顔を見るのは本当に2年ぶりだ。
楽しみすぎて、遠足前日の子どもみたいに、一睡も出来なかった。
瀬戸と健司も空港まで迎えに来るとか言っていたけど、邪魔だから絶対来るなと言っておいた。感情が爆発している俺を見て、イジられるのが目に見えている。また変な噂を大学で流されるのは癪だし、お前らはお前らで宜しくやれと釘を刺しておいたのだ。
彼女がゲートから出て来たら、駆け寄って思い切り抱き締めよう。
家に帰って来たら、お土産話をいっぱい聞いて、一緒に飯を食って、2年分キスをして…
想像するだけで心が躍った。早く、彼女に会いたい。
夕方到着の便で帰って来るので、15時ごろに親父と艶子さんが車で家まで迎えに来てくれた。
凛の留学中にバイト代で普通免許を取得していたので、それに乗り込んで自分の運転で空港にまでやってきた。勿論まだ助手席には誰も乗せていない。
ゲートの前でソワソワしている俺を見て、親父と艶子さんが何か言いたそうにニヤニヤしていたけど、それどころでは無い。
暫くすると、チラホラと人が出て来始めた。時間的に、凛が乗って来た便のはずだ。
キョロキョロと彼女を探していると、1人の女性が手を振って駆け寄って来た。
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