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「凛子、おかえりー!」
迎えに出ると、瑠璃とケインくんが立っていた。
「わ、久しぶり」
「てか凛子、化けたね!可愛い!」
「ほんとに、綺麗になった!」
玄関先で1番に褒められて、私の気分は上がった。
2人は、私が留学している間に付き合い始めた。どうやら、ケインくんが以前から瑠璃のことを好きだったらしい。慶からその事はメールで聞いていたので、改めて祝福の言葉を贈った。
「慶くんは?」
「居るよ、」
「久しぶりに4人でランチしようよ!良いお店見つけたんだ!」
「嬉しい!とにかく上がって、支度するから」
中に通すと、瑠璃が「何気に初めてだー!」って嬉しそうな声を出した。ケインくんは慣れた様子で廊下を進む。
「よー、慶!感動の再会、どうだった?」
悪びれなくケインくんが訊いたから、チクリと胸が痛んだ。
「慶くんさ、私達に来るなって言うんだよ?失礼だよね。凛子に早く会いたかったのに、」
ハハハ、と笑って誤魔化したけど、気まずくて居た堪れなかった。
店に向かう間、慶はケインくんの隣を歩いた。私はそこから数メートル後ろを、瑠璃と2人で着いて歩いている。
「ね、もしかしてだけど、早速ケンカ?」
そう訊かれて、ドキリと肩が跳ねた。
「仲良いね、アンタ達。よく4年も付き合って、喧嘩なんかするよねえ」
「…そんなんじゃ無いよ、」
喧嘩の方がマシだ。ただ、避けられているだけ。触れてくれないだけ。
綺麗でも何でも無い私に、愛想を尽かしてしまったんだろうか。
彼の薬指に輝くシルバーの指輪だけが、私達の関係を繋いでいるような気がした。
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