新生活②

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入学式当日。 2人とは大学の大講堂の入り口で別れて、それぞれの学科の列に向かった。私は文学部の英文科。予想通り、男子なんて1人も居なかった。 学長の挨拶やら何やらが終わって、充てがわれた教室に向かう。と、隣の席は綺麗な女の子だった。 パーマがかかった栗色の髪、長い睫毛。多分自睫毛じゃなくて何かしら付けてるんだと思う。ツヤツヤでプルプルの唇に、桜色の爪。今時の大学生という感じだ。 少し怯えながら、席に着く。 「おはよう、」 意外にも、彼女は優しい微笑みで話し掛けて来た。 「私、瀬戸(せと) 瑠璃子(るりこ)。あなたは?」 「西澤 凛子です…」 「凛子ね、私も瑠璃で良いよ。よろしく!」 ニコ、と微笑った彼女の唇の隙間から、真っ白な歯が見えた。この人は頭のてっぺんから足の爪の先まで完璧に手入れが行き届いているというか、綺麗だなと思った。多分、ていうか絶対、一軍女子なんだろうなと。 「入学式の前さ、一緒に居た2人って友達?」 そう訊かれて、考えた。慶とケインくんの事だろうけど、義兄妹の彼氏と、その友達という説明が面倒臭い。なので適当に「うん」と答えた。 「そうなんだ!すっごいイケメンだね?」 「…そうかなあ」 慶は高校の時からもの凄くモテていた。 180センチの長身で、顔は整っている…と思う。よく分からないけど。スラリと通った鼻筋に、白くてツヤのある肌。目は父親の総二さんによく似て、笑った時に目尻に皺が寄る。ちなみに私はこの笑顔が好きだ。 ケインくんのことはよく知らない。 慶より身長は少し低いけど、スポーツをしていたのかガタイが良くて、腕とかかなり筋肉質だと思う。顔は、慶みたいな美青年タイプではないけど、ヤンチャ系というか、好きな人は多分たくさん居そうな感じ。話も面白いし、人気はあったんじゃないかとは思う。 「身長高い方の彼なんて、モデルみたいじゃん!ね、仲良いの?」 「…仲良いと言えば、良いかな」 「そうなんだ!じゃあ、紹介してくれない?」 爛々と目を輝かせて、私の手を取る彼女。 この時の私は「紹介」の意味がよく分かって居なくて。友達としての紹介だと思って、気安く「良いよ」と返事した。 やった!と喜ぶ彼女を見て、何がそんなに嬉しいんだろうな、と思っていた。
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