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4年生になった、5月の昼休み。
凛子と一緒に学食へ行くと、慶くんが一番乗りで着いていた。片手を挙げて、こちらに挨拶する。
「…慶、次空きだよね。コーヒー買って来ようか?冷めるかな、後の方が良い?」
「凛が何か買うなら買ってきて、」
「うん、分かった」
さり気なく、慶くんの肩に触れて話す凛子。以前まではこんな事すら無かった。家ではどうなのか知らないけど、人前では中学生カップルみたいに十数センチの距離があったから。
「…ラブラブぅ」
わざとらしく言うと、彼は「うっせー」と微笑った。でもその顔は満更でもない様子。
「何か…雰囲気、良くなったね」
「…そうか?」
「うん、前から良かったけど、今はもっと良い」
「…そりゃ良かった、」
「これで離れ離れになっても大丈夫だね?むしろ距離が2人の愛を育てる、って感じ?」
「…そろそろウザい、やめろ」
そこに凛子が帰ってくる。
「何か楽しそう、何の話?」
「ん?慶くんが凛子の身も心も愛してるって話、」
みるみる赤くなる凛子。慶くんは「は?そんな話してねーし!」と必死に否定する。
本当にこの2人は揶揄い甲斐がある。吹き出して、笑い転げた。
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