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そこからゆっくりお昼を食べて、のんびり移動した。彼らの高校までは少し距離がある。着いた頃にはちょうどHRが終わり、生徒たちがチラホラ帰り始めたところだった。
「凛、見ろよ。アレ、生活指導の稲川!」
「わ、まだ居たんだ…私、あの人苦手だったなあ、」
「中、入れると思う?」
「稲川先生が校門に立ってる限り、絶対無理だと思う」
「やっぱそうだよな、裏に回ってみるか…?」
懐かしんでいる彼らに着いて、学校の裏に回る。裏門の格子の隙間から、3人並んで中を覗き込んだ。
「流石に鍵かかってるかあ、」
「この前まで通ってたのにね、変な感じ、」
「…アレ?あそこに居るの、健司じゃね?」
慶くんの指の先を目線で追う。と、そこには白衣を着た彼氏の姿があった。
「わ、ケインくん、白衣着てる!先生っぽい!」
「つーか、あのVネックのインナー何だよ!筋肉ありすぎてAV男優みてえ、」
吹き出して笑う慶くんを、凛子が「慶、AVなんて観るの?いつ?」と不潔なものを見るような目で見る。必死で取り繕う慶くんが可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「あ、おい、誰か来たぞ、」
誤魔化すみたいに、慶くんが言う。だけど確かに、校舎裏に立っているケインの元に、1人の女子生徒がやって来た。向かい合って、何か話している。
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