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「…え、そうなの?」
私は目を見開いた。付き合う前後で、そりゃあ彼の態度は変わったけど、それは恋人になったからで。自分の彼女には全員あんな態度なんだと思っていた。
「健司さ、中学の時から好きな子とは喋れねーんだよ。なんのアプローチもできねーから、告られた子と妥協して付き合ってばっかでさ。だけど瀬戸の時は何か一生懸命だっただろ?そんだけ手に入れたかったんじゃねーの?」
「前のアイツなら、バイト先で待ってるとかありえねーから」と、慶くんは笑った。
「ほんと?ほんとに?」
「嘘なんかつかねーよ、」
胸の真ん中が、少し暖かくなった気がした。するとそこへ、インターホンの音が鳴り響く。
ーーーピンポーン
「お出ましだな、」
ニヤリと微笑って、慶くんが迎えに出る。玄関のドアの音がしたかと思うと、ドタドタと賑やかな足音がリビングに飛び込んできた。
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