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「う、うん。もう帰るの?」
「紗矢もよかったら、合コン……行かないよね」
ロッカーに向かいながら、二人に私は微笑む。
「ごめんね。今日は社長と代表取締役会長と食事会なの」
「それってつまり」
「そう。家族で食事」
同僚の二人は『大変だね』と苦笑いして私を労わってくれたが、ごめんね。
食事会というのも少し語弊がある。
「せっかく紗矢は綺麗なのにこのままじゃ、本当に結婚できないよ」
心配してくれたのは、同僚でもあり大学からの気の置けない友達でもある、藤森小春。
私が人目を惹く容姿をしているから、合コンのエサに使おうとしていた清々しいほどの肉食系女子だ。
その清々しさと遠慮しないで言い合える性格のおかげで、私もなんでも話せてしまう。
見た目は小動物みたいに小さくて可愛いのに、高級な肉しか食べない肉食系の彼女は、合コン相手もいちいち一流企業とかスポーツ選手とか派手だ。
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