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「あー……悔しいっ」
私だけ彼に転がされている気がする。
経験値が違う。年齢が違う。生き方が違う。
この先、私は彼に甘やかされて、駄目な子豚になってしまいそうだ。
それが悔しくて、お風呂も洗ってギリギリまで彼を待っていた。
それでも朝、出勤時間になっても彼は帰ってこなかったので私はすごすご家を出た。
私が病院の前を通り駅に向かうとき、また救急車がロータリーに入って行っていた。
今、病院の中で彼は怪我人の手術をしているのかもしれない。
一人だけお花畑のように浮かれていた私は、頬を叩くと改札口に吸い込まれていく人々に交じった。
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