「ボク」とボクの大好きな人に似ているヒトの話。

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「ボク」とボクの大好きな人に似ているヒトの話。

「あなたの背を抜いたあの頃、あなたが誇れる自分でいられるようにと、胸に決めていたんです」  ぴと、と、大きな石に触れながら君は、静かに話しかける。 「ねぇ、聞こえてますか?」  哀しそうにそう言った君は、一人静かに空を見ていて、その顔を見て、ボクは心が痛くなる。  誰に話しかけているの?  君がいう「空」には、何がいるの?  ボクが見上げる空には、何も見えないけれど、なんで空を見て、そんなに哀しそうな顔をしているの?  ボクは、晴れと曇の日の空はポカポカするし君と出かけられるから楽しくて嬉しくて、雨の日の空はお出かけできなくてちょっとつまらないし、外に出ると濡れるのがちょっと嫌だけど、今日はとてもよく晴れているから、ボクの考える理由とはちょっと違うんだろう。  どうしたら笑ってくれるのかな。  大きな石の前で、まだ見えない誰かと話している君に、元気をだして欲しくて、ピタリ、と背を寄せれば、君は何も言わないまま、ボクを引き寄せた。 『お? オマエが新しい家族か?』 「だ、だれ?!」  ひょこ、と突然目の前に現れたヒトに、思わずバッと立ち上がれば、目の前のヒトはシシッと楽しそうに笑う。     
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