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そう思って、君の頬へ擦り寄ったボクに、君は「お家に帰りましょうか」と笑顔で告げる。
歩き出した君のあとを追いかけながら、君を見上げれば、「どうかしましたか?」と空を背中に背負いながら君がボクを見る。
「おとうさんは、そらにいるんだって!」
伝わらない。そうわかっていても、伝えたかったボクの言葉に、君は不思議そうに首を傾げるものの、ふと、ボクの見る視線の先を追いかけて、少しのあいだ、黙ったまま空を見上げる。
くるり、と空から視線を降ろした君の顔は、もう悲しそうな顔じゃなくて。
「お散歩、しにいきましょうか」
ボクの答えた「わん!」という声に、君と、君の後ろの空が、嬉しそうに笑った。
完
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