ラジオマン(電波人間)の苦悩

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ラジオマン(電波人間)の苦悩

父の治療は続いているとはいえるのだろうか。 父は自分の研究室なのか、書斎なのか、休憩場所なのか、僕が近寄ることさえ許されない“開かずの間“に、閉じ籠ってしまった。 僕の電波に対しては、治療薬が効かないのか、父はサジを投げてしまった。 代わりのDr (精神科医)が任用されたようだが、顔も見せず、僕がノイズ(人の悪意によるテレパシー)を受信しないような飲み薬を処方した。 しかし、僕の電波はいたるところに発信されているらしく、バカ正直な精神科患者が反応して、独語でぶちギレていた。 看護師やその他の介護士は、僕の発信する電波に反応しないように、細心の注意を払っている。 僕は嵐に、遭う船の船員のごとく、正しくこの状態に対応しなければならない。 電波をシャットダウンしたいときはできる人が、本当のテレパシー能力者だよとヤナガワという介護士が、僕にキレ気味に言っていた。 あたかも、自分で電波を調節できない僕は、バカだと言っているようだった。 僕は、口を使って話さなければ思考が電波になって伝わる、ラジオマン(電波人間)の自分を嫌った。 自分が自分を肯定しなかったら、誰が僕を肯定するのだろう。  僕はエルサレムから、時々面会に降りてくる牧師や 下界に住む、エルサレム人との神様への祈りなどについての対話によって、少し苦しみを軽減することしか、できない。
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