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リリスはハッと目を開けた。
とたんに、シドの顔が視界いっぱいに広がった。なぜかシドは目を閉じている。リリスは驚きすぎて悲鳴を上げることすら忘れて固まった。
「空気を読めよ、腰抜けトロイ」
目を開けたシドが、舌打ちをする。身をおこして、トロイを睨みつけた。肉食獣顔負けな強面に睨みつけられ、トロイは顔を蒼白にした。
リリスはシドの眼光から守ろうと、トロイとシドの間に入った。
「すみませんトロイさん。わたしが任務を失敗したせいで泣いてしまったから、シドが慰めてくれていたんです」
「な、慰める……。まさか、二人がそんな関係だったなんて――」
フォローしたつもりが、更にトロイの顔は青くなってしまった。その理由が分からず、首を傾げていると、シドに頭を撫でられた。
「よく言った。なかなか気の利いたフォローだったぞ」
満足げに言われ、リリスは更に首をよじることになった。
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