3-5

9/9
前へ
/219ページ
次へ
 リリスはハッと目を開けた。  とたんに、シドの顔が視界いっぱいに広がった。なぜかシドは目を閉じている。リリスは驚きすぎて悲鳴を上げることすら忘れて固まった。 「空気を読めよ、腰抜けトロイ」  目を開けたシドが、舌打ちをする。身をおこして、トロイを睨みつけた。肉食獣顔負けな強面に睨みつけられ、トロイは顔を蒼白にした。  リリスはシドの眼光から守ろうと、トロイとシドの間に入った。 「すみませんトロイさん。わたしが任務を失敗したせいで泣いてしまったから、シドが慰めてくれていたんです」 「な、慰める……。まさか、二人がそんな関係だったなんて――」  フォローしたつもりが、更にトロイの顔は青くなってしまった。その理由が分からず、首を傾げていると、シドに頭を撫でられた。 「よく言った。なかなか気の利いたフォローだったぞ」  満足げに言われ、リリスは更に首をよじることになった。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加