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「だからどうした。あの党は、今後、より強大な党になる。私はそう確信している。貴様らハンターに口出しされる筋合いはない」
「そうはいきませんよ。実は最近、新種のファントム症候群が巷で流行りだしましてね。その患者が全員あの党の支持者だったのです。もしかしたら、感染経路にあの党が関わっている可能性がある。我々にはファントムから民衆を守る義務がありますから、貴方の方こそ、我々ハンターに口を出す権利はない」
言い切ると、ブラックは歯噛みした。そうかと思うと、ふと思い出したような表情をして意地の悪い顔に変わる。
「好きにすればいい。――せいぜい、お前の可愛い相棒と同じように犬死しないことだな」
「……彼女の事を侮辱する権利は貴様にはない」
アルバートの目の色が変わる。女子供が目の前で傷ついても揺れることのない目に、感情が宿る。ぎらついた双眸を見たブラックが、反対に余裕の笑みを浮かべた。
「そうか、まだ吹っ切れていないのか。これは面白い。お前のそんな顔を見られるとは思わなかった」
ブラックは高笑いした。嫌らしい声に、アルバートは拳を握りしめる。
許されるのならば、ブラックの脳天を撃ちぬいてやりたかった。怒りを何とか瞑目して抑え込む。
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