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(ディアナ……。私は君のためにもこれ以上、間違った選択はしない)
脳裏に嘗てバディを組んだ女の顔が浮かぶ。
まだ、ハンターとして日も浅かったころだ。もう一人の新人ハンターとバディを組むことになった。彼女の名はディアナ。鮮やかな赤髪と深い緑の瞳をした、珍しい女ハンターだった。
初めはバディが女であることに抵抗があった。自分との体力や技術力の差に、足を引っ張られるのはごめんだった。だが、ディアナは努力と持ち前の運動神経のよさで、男のハンターとの差を補っていた。何よりも、彼女は勉強熱心でひたむきに訓練を重ねていた。
アルバートと違い、ディアナは温厚で大らかだった。正反対な性格だが、アルバートは日に日に彼女といることが苦痛ではなくなっていた。任務を重ねるごとに、二人の距離は近づいた。寝食を共にし、仕事では互いに背中を合わせる――新人ハンターにはよくあることだ。
よくある話で終わればよかったが、いつしか、ディアナはアルバートに好意を向けるようになっていた。
けれど、アルバートは彼女の好意に気づかぬふりをした。
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