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「躾のなっていない犬にお仕置きをしているのだよ」
鼻を鳴らし、不機嫌そうにアルバートは言った。
どうやら、バディを組まされる相手というのは相当な問題児のようだ。
(大丈夫でしょうか。上手くやっていけるのでしょうか。……もしかしたら、わたしがウザくて、ここから逃げ出した――などということになれば、どうすればいいのでしょう!)
リリスは頬を両手で押さえ、顔を蒼白にした。
立ち止ったリリスを見て、アルバートは眉根を寄せる。
「何をしている、さっさと歩かないか。貴様もお仕置きされたいのか?」
「いっ、いえ、結構であります!」
冷静だが脅しめいた声で言われ、リリスは再び敬礼をする。
すぐに歩き出したアルバートの後を、黙々とついて行く。
独房は階段を下り、木製の扉を開いた先にある。部屋には、左右に分かれた鉄の扉が整然と並んでいた。
「様子はどうだ?」
アルバートが声をかけると、一番奥の独房の前にいた二人の看守が気づいて敬礼をした。
「先ほどまでは暴れておりましたが、どうやら諦めたようで今は大人しくしております」
「少しは頭を冷やしたようだな。では、行儀がよければここから出してやるのも悪くないな。――開錠しろ」
アルバートが命じるとすぐに看守が錠前を開けた。
重々しく鈍い音をさせて扉が開く。同時にオイルランプの灯りが独房を照らした。
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