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 昼時のロンドンに鐘が鳴り響く。  ファントムを捕獲した現場に戻ったリリスとシドは、瓦礫の撤去に追われていた。  繁華街の大通りということもあり、大きな瓦礫は既にアーサーらが撤去したようだ。  道路は馬車が通れるほど片付いていた。それでも、一軒家が崩壊したのだ。隣接する家の軒先からこちらを睨みつけてくる住民たちの、迷惑そうな視線が痛い。  本部に帰還後、こってりアルバートに絞られ瀕死状態の精神力が、更に削られていく。  今にも倒れそうな体に鞭を撃ち、リリスは赤煉瓦の残骸を腕に抱えた。  石畳は破裂した消火栓のせいで水浸しだった。しかも、所々割れているせいで、足を捕られそうになる。 「……あーあ、だるい。つーか、眠い」 「こんなところで寝ないでください、シド!」  煉瓦を抱えながら、リリスは路地に座り込んだシドを叱咤した。シドは目だけをリリスに向け、深いため息を吐く。 「んじゃ、あっちの方で横になってくるわ」 「それも駄目です! 寝ないでください!」  立ち上がり、道の隅へ移動したシドを怒鳴りつけた。いつも温厚なリリスだが、今日ばかりは口調がきつくなる。  アーサーにも任務前に言われたが、ここで大目に見ては駄目だ。これから、ハンターとして生きていくシドのためにもならない。
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