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「いいですか、シド。今後は、勝手な行動は慎んでください! ファントム症候群患者は、極力傷つけずに搬送する決まりになっています。それに、水路を壊すなんて……」 「ちゃんとファントム患者を捕獲したんだ。少し水路を壊したからなんなんだよ。口うるさい奴だな。てめぇらがちんたらしてるから、俺がさっさとかたを付けてやったんだ。感謝はされても、文句を言われる筋合いはねぇっての」  舌打ちをしたシドにリリスはムッと顔をしかめるが、ここで威勢よく説教をするほどの度胸がリリスにはなかった。 「水路はハンターの戦いにとって、大事なもので、ですね。あと、わたしたちは一応、バディなのですから、お互い素直に相手の言葉を聞いてですね……防毒面は貴方の体を守るための道具で――」 「声が小さすぎて、何言ってんのか全然わかんねぇんだけど」  シドは面倒くさそうに言った。誰かに意見することに慣れていないリリスの勇気が、腰からぽっきりと折られる。  意気消沈したリリスが黙り込むと、シドは立ち上がった。 「帰る」  くるり、とシドが踵を返す。 「ええっ! で、でも、後片付けが残っていますし」 「んなもん、知るか。そんなもん、そこらのサポートにさせとけばいいだろ」  シドの言葉に、後片付けを手伝ってくれていたサポート達の手が止まった。苛立ちの視線を向ける彼らに、リリスの顔が青ざめる。 「何言っているのですか。彼らはわたし達のために来て下さったのですよ」 「俺たちのためって、それが仕事だろ。高い給料貰ってんだ。そのくらいして当然だろ」  止めるリリスを無視して、シドは帰り道であるマンホールに近づいて行く。
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