3-4

7/8
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
(このまま、食い殺されてしまいそう――)  そんな気さえしてきて、リリスは我に返った。 「やめてください、ユニさん!」  やっと声を出せた。  それと同時に、部屋のドアが勢いよく開いた。 「リリス!」  蹴破られ、ドアが吹っ飛ぶ。部屋に駆け込んできたシドは、リリスを押し倒しているユニを見た瞬間、烈火の如く叫んだ。 「てめぇ、何してやがる!」  体中から怒りを絞り出したような声だった。逆上したシドは、ユニに飛びかかった。  シドに首根っこを掴まれたユニが、リリスから体を退ける。無理やり立たされたユニの顔に、シドの強烈な拳が炸裂する。  ごきっ、という鈍い音がして、ユニの体がドアと同じように吹き飛んだ。倒れ込んだユニに、シドは馬乗りになる。振り上げた拳が、再びユニの顔面に叩きつけられる。  鈍い音が室内に何度も響く。ユニは抵抗することなく、シドに殴られている。その姿は、抵抗できないのではなく、体を差しだしているようだった。 「シド、やめて!」  リリスは暫く呆然としていたが、シドの腕にしがみ付いた。ユニを見ると、鼻血が出ていた。口元からは血が流れ、苦しそうに咳き込んでいる。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!