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(このまま、食い殺されてしまいそう――)
そんな気さえしてきて、リリスは我に返った。
「やめてください、ユニさん!」
やっと声を出せた。
それと同時に、部屋のドアが勢いよく開いた。
「リリス!」
蹴破られ、ドアが吹っ飛ぶ。部屋に駆け込んできたシドは、リリスを押し倒しているユニを見た瞬間、烈火の如く叫んだ。
「てめぇ、何してやがる!」
体中から怒りを絞り出したような声だった。逆上したシドは、ユニに飛びかかった。
シドに首根っこを掴まれたユニが、リリスから体を退ける。無理やり立たされたユニの顔に、シドの強烈な拳が炸裂する。
ごきっ、という鈍い音がして、ユニの体がドアと同じように吹き飛んだ。倒れ込んだユニに、シドは馬乗りになる。振り上げた拳が、再びユニの顔面に叩きつけられる。
鈍い音が室内に何度も響く。ユニは抵抗することなく、シドに殴られている。その姿は、抵抗できないのではなく、体を差しだしているようだった。
「シド、やめて!」
リリスは暫く呆然としていたが、シドの腕にしがみ付いた。ユニを見ると、鼻血が出ていた。口元からは血が流れ、苦しそうに咳き込んでいる。
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