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「なんで止めるんだ! こいつに何されたのか、分かってるのかよ!」 「分かっています! わたしが悪かったんです! ユニさんを怒らせるようなことを言ってしまったせいなんです! ユニさんも後悔しているはずです。その証拠に、抵抗せずに殴られていたではないですか。ですから、もうやめてください。――お願いですから、もう殴らないでください」  リリスはシドの手を握りしめた。ぬめったユニの血の感触がした。シドはリリスとユニを交互に見やると、ユニから手を放した。  床に転がったユニが、咳き込みながら体を丸める。痛々しい姿に、リリスはユニへ駆け寄ろうとした。 「――帰るぞ。早く来い!」  リリスはシドに腕を掴まれた。彼に引きずられながら、部屋の外へ連れていかれる。  ユニが気になり、部屋を出る直前にリリスは振り返った。床にうずくまったまま、ユニはリリスを見ている。  血を流しながらも、ユニは自信に満ち溢れた目をして微笑んでいた。その姿が怖くて、リリスは咄嗟にユニから目をそむけたのだった。
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