3-5

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 ユニの部屋を出たとたん、シドの手に力がこもった。 「シド、痛いです!」  掴まれた手の痛みにリリスは顔を歪める。パブへと続く廊下を歩いていたシドは、控室から少し離れたところで立ち止った。  振り向いたシドの目は、怒りに染まったままだった。 「もっと痛いことされてたかもしんねぇんだぞ。――一人でのこのこあんなところに行きやがって。あのまま俺が助けに行かなきゃ、どうなってたと思ってんだ!」  激しい剣幕で怒鳴ったシドは、リリスの肩を両手で押さえた。 「ごめんなさい……。でも、ユニさんがあんなことするなんて思わなくて」 「あんなことすると思わなかっただと? 笑わせんなよ。警戒心解くほど、てめぇはあの男の事を知ってたのかよ。テロリストの仲間かもしんねぇんだぞ。そんな男に自分から会いに行くなんて、頭が軽すぎて笑っちまうな」  鼻で笑われ、リリスは落ち込む。 (シドの言うとおりですね……。わたしはなんて愚かなことをしたのでしょうか。軽率で軽薄で、自分でも笑いが出てしまいそうです)  任務のためとはいえ、考えが浅かったのかもしれない。結果として、シドを怒らせ、ユニを傷つけてしまった。これが原因で今後、党に近づくこともできなくなるかもしれない。そうなれば、潜入調査は失敗だ。  俯いたリリスの目に涙が浮かぶ。  大きな瞳に浮かぶ雫を見たシドが、大きなため息を吐いた。
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