visionary

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 私の神は彼女。見ているだけで劣等感を感じてしまうのに、美しいから目を離さずにはいられない。私にできないことを簡単にやってのける。私とは違う世界を見ている。世界の美しさを素直に享受している。一度でいいから、憧れの彼女になって彼女の見ている世界を見てみたい。そんなことはできないけれど。  私はせめて、彼女の瞳が曇らないように、傷つかないように守りたいと思った。いや、私のような凡人が守るなんて、おこがましい。それでも、彼女が他人の誹りを受けないように守りたい。彼女の瞳に映る景色も、耳に届く声や音も、美しいものだけでいい。醜い行為や彼女を刺す声が届く前に、私が彼女の目を、耳を塞いであげる。彼女の手で紡がれる美しい言葉を枯れさせるわけにはいかない。
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