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憧れを抱いたら、その時点でその人に敗北している。劣等感に苛まれながらも目を離すことのできない圧倒的な存在に出会ってしまったとき、それはあなたにとっての神となる。
放課後になると学校は一気に賑やかになる。そんななか、静かに活動しているのは私たち文芸部だけかもしれない。人気のない文芸部には私と彼女しか部員がいない。室内を、硬い机に置かれた用紙とシャーペンとがぶつかる小気味いい音だけが支配していた。彼女は寡黙だけれど、紙面上では饒舌だ。けれど、クラスメイトは彼女をただ物静かな、平凡な少女だと思っている。彼女の詩と向き合う眼差しの力強さも、詩作に対する姿勢の真摯さも、私以外誰も知らない。特別な彼女をみんなに知ってほしいという思い。今のまま独占していたいという思い。相反する思いが同じ強さで私の心のうちに渦巻いている。
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