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私は彼女の作品を目にすると、自分の書いた短歌も小説もすべて破り捨ててしまいたくなる。不格好で恥ずかしいから。なにより劣等感が私を苦しめるから。彼女と比べられるのがこわい。彼女と私を比べる他人の視線が恐ろしかった。
私は溢れる承認欲求丸出しで、乱暴に世界を切り取るけれど、彼女は違う。彼女はものすごい力をもっている。彼女の詩からは音が聞こえるし、紙面上の言葉の向こう側に景色が広がる。現実の身体を忘れて、美しい世界へと連れ去られる。彼女が丁寧に掬い上げた美しさをそのまま言葉に変えたからだ。
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