nobleness

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 私を現実に繋ぎとめてくれるのは詩だ。詩は、想像の世界と同じくらい自由だ。表現に悩むことはあっても、詩を書いている間は気兼ねなく想像の世界に浸ることができて息がしやすい。詩は私にとって救いだけれど、彼女はすこし違うらしい。  埃っぽい文学部の空気はなんだか停滞している。何が違うのかはっきりとは分からないけれど、他の部活にある熱気や勢いに欠けている。部室は教室の半分ほどの狭さで、向かって右側に私より背の高い木製の本棚があり、部誌や雑誌、小説などが整然と並べられている。しかし、それらは日焼けしていて、本棚の一番上からはたまに埃が降ってくる。部室の中央には長机が二つ向かい合わせに置かれていて、椅子は六つある。けれど、椅子は二つしか埋まらない。
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