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蝉の声が響き渡る晴れた夏。彼女に尋ねたことがある。
「どうして小説を書こうと思うの?」
「……書きたいから。んー、いや、違うかも。負けたくないから。自分が書きたい世界を一番うまく書けるのは自分だ、みたいな」
彼女は自分の解答に納得がいっていないようで唸っていたが、言葉を続けた。
「他の人の小説とかを見て、絶対に自分に浮かばないような表現を見つけると悔しい。悔しいけど、書くのはやめられない。……やっぱり、書きたいからかも。嫌な思いしても、やっぱり書いていたい」
彼女はまだ思いがまとまらないのか、困ったように笑った。
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