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前の垢で書いた化け物世界の話です
ツンと鼻にくる匂い。今にも消えそうな外灯。先も見えそうもない裏路地。そして、恐怖と捉えられる紅い血ふぶき。これを見て彼の手がかりだと思うのは、私たちしかいないだろう。
彼とは、この最近現れた殺人鬼のことだ。その存在は余り知られていない。もちろん姿形も誰も見ていない。
「そろそろ行こうぜ。さすがに僕でも背筋がぞわぞわするからよ。」
「だったら何でそんなに元気なの?。」
「…そうか?」
このアホはいつもこれで、いざという時にしか働かない。私にとって相棒と言われる奴だ。
「見ろよ、ここ。これは…。」
そう言ってアホは道のそばに咲いた花を指した。
「…この花がどうしたのよ。関係なさそうなのは今は必要ないでしょ。もう、こっちは時間がないのに。」
「はぁ?どう考えたらそうなるんだよ。よく見なって。この花、誰かが踏んだ跡があるじゃねーか。」
「ほ、ほんとだ…。」
「だけど、誰の足跡だ?血を浴びた足跡はあそこについているのに。」
「息をひそめているときに踏んじゃったんじゃないの?」
「だったら、なんで後ろを向いているんだよ。」
「確かに…」
「お前、馬鹿なのか?おやじさんはあんなに頭が切れるのに。」
「うるっさいわね。私は私よ!」
そう、このアホが言うように私の父は頭がよく切れる探偵。ここに忍び込めるのも父のおかげ…
私はそっとアホに目を向けた。私は、いつもアホと言っているが悔しいことだが私より推理力がある。学校では陰キャだが、事件のことになると一気にキャラが変わる。最初見たとき私でも驚いたほどに。まぁ、今では慣れてしまったけれど。
その後のアホは写真を撮ったり、考え込んだりしていた。
「おーい、一通り見終わったから行こうぜ。時間がないんだろ?もう、遅いしな。」
腕時計を見てみると、深夜はもうとっくに始まっていた。
「そうね。それで、今日の収集は?」
「そうだな…まずは、踏まれた花。あれはもう一人いるっていうことじゃないのか?次に、壁についた血の跡。あれはいつもと同じように独特な跡。そして、途中までついていた血の足跡。路地の途中で消えていた。だけどその横にこの最近使われたような跡がついた排水溝があった。水で洗ったんだろう。その横に高い位置だったが炭のような跡があった。」
「意外にあったんだね。あ、おじさんに挨拶しに行かなきゃ。」
「ん。それじゃ、僕は先に行ってるからな。」
私はOKサインをして、現場を後にした。
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