0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「よかった、お目覚めになったんですね」
更に驚くことには、その美しい女性がカイリの胸に飛び込んできたのだ。
甘い香りと抱き心地のいい柔かさに、ここは天国かと浸っていたかったのだが、美人すぎて抱きしめる度胸がなく、そうっと引き離した。
「あの、たぶん、人違いだと思うんですけど」
驚いて見つめ返す女性の瞳は潤んでいた。
もったいないなぁと惜しみながらも体を離して、ここはどこで、なぜ保護してもらっているのかを尋ねた。
「カイリ様……わたくしを、あなたの恋人のビビアンを本当にお忘れになったのですか?」
「え、は? 誰と誰が??」
喜ぶよりも呆気にとられたカイリだったが、ふと視界に入った鏡に、とんでもなく信じられないものが映っていた。
ビビアンと並んでいるのは背が高く、ウェーブのかかった髪を長めに伸ばした西洋的な鼻高の男だった。
まったくもって、見覚えがない。
しかし、鏡の男はカイリの驚きに連動した動きを見せた。
最初のコメントを投稿しよう!