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あまりの信じられなさに、初めて鏡を見た猿みたいに手を振ったり、変顔をしてみたりとかぶりついていると、今度はアイドル顔まけの美青年がやってきた。
「よかった、カイリ。その様子なら、大丈夫そうだな」
美青年は、親しげに肩や背中を叩いてくる。
「あ、あの、申し訳ないんだけど、俺はカイリであってカイリじゃないと言いますか……」
「おい、ビビアン。カイリの奴は何を言っているんだ?」
呆れ返るだけの美青年と涙目で狼狽えている美女の組み合わせは、見ていて、ちょっと面白かったのだが、さすがにのんびり見守っている場合ではない。
「あー、たぶんなんだけど、俺はいわゆる異世界の人間で、だから、君たちが知るカイリとは別人なわけで……」
転生物は一、時期ハマって読み漁っていたこともあったが、まさか自分が体験するとは思わなかった。
まあ、セオリー通りに男前度とモテ度が上がっているのだから文句はない。
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