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花言葉
S氏は彼女に恋をしていた。
それでも彼女が好きなので少しぐらいの意地悪も、
話せるきっかけと思えば苦にならなかった。
つれない態度をしているが、コーヒーを入れてあげたり
彼女の好きそうな花を買ってきて花瓶に挿しているだけで幸せを感じていた。
面と向かって拒否されているよりは良い。
いつか彼女もこちらに目を向けてくれるのではと信じて。
「今日はもういいわ」
いつも通り家の用が済ませてたので帰宅を促した。
しかし今日は珍しく立ち止まっているS氏を見て「どうしたの?」と問いかけた。
「少しお話ししたいなと思って」
「そう?いつもありがとう。でも今日は今から来客の予定が入ってて・・・、
また来て欲しいわ。ごめんなさい」
「じゃあ今日は帰るよ。
次来るとき何か欲しいものある?」
「そうね」
彼女は部屋を見渡し花に視線を移した。
「じゃあー、青いバラを飾って欲しいわ。
アタシ、バラって花の中でも好きなの、プレゼントして、お願い」
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