一宿一飯の恩義・そうして新しい物語が動き出す

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「そっか。良かった……じゃ、動くぞ」 「え ――っ、それはちょっ、ま ――」   実桜の制止は間に合わず、ここから手嶌の猛攻が   始まった。 「ど、ぅっ、うわ、ぁ―― ひゃン……」   ある意味 ”本当に詐欺だ” と、実桜は思った。   こんな ”子作り以外のセックスは全て不純だ”   とでも言い出しそうな、道徳教師か坊さんみたいな   真面目な顔して、下手すりゃパートナーを   抱き殺さんばかりの超激しいセックスをする   なんて……。 「お……おねが ―― ちょっと、きゅうけい……」 「ん ―― まだ1回だけだぞ……しかし、意外に  保った方だ」   普段の実桜のセックスなら、   軽く3ラウンドに到達している時間だ。   遅漏にも程がある。   1回がこんなに長く、   イかされまくりなんて拷問に近い。   苦しい程に気持ちが良いイカレたセックスを、   実桜はした事がなかった。    「……何気にむかつく」   良い様に弄ばれただけの実桜が、   悔しくてそう文句を垂れる。   そしたら、見下ろしていた手嶌に軽く腰を   押されて、実桜はベッドに横向きに倒れる。 「それはこっちの台詞だ。もっと長く遊んで  ぐちゃぐちゃにしてやるつもりだったのに、  予定が崩れた」 「あー、さいざんすか、申し訳ありませんでしたね」   冗談じゃない。悪魔だ、この男……。   シーツと睨めっこから、   ようやく視界が開けて見えた手嶌は、   手慣れた動作で半分ほどに萎えたモノから白濁の   溜まったコンドームを抜いて、後処理をする。
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