竜二との出逢い

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「……何でもなくはねぇだろ。ハラ、減ってるんと  ちゃうか?」       (分かってんなら、わざわざ聞くなっ)       「フェ*抜きで、3千出す。どうだ?」   と、実桜の太ももを厭らしい手つきで撫でる。      実桜はその手をピシャリと払って、       「おあいにく様、あんたなんて100万出すって  言われても願い下げですぅ」   「チッ、人が親切に声かけてやったのによ」   と、捨てゼリフを吐き捨て、田中は立ち去った。      (性病持ちの遅漏男の相手なんてごめんだ。    あぁ ―― ヤバ、喋ったら余計お腹空いて    きた……)       そんな実桜の元に、新たな男がやって来た。      いかにもホストって感じのチャラそうな若い男。      黙って彼は実桜のひざ上にコンビニおにぎりを   2個置いた。       「そんなんじゃ、ハラの足しにはなんねぇけど、  なんも食わねーよかマシだろ」       実桜は「ありがと」と、   礼も早々にそのおにぎりにかぶりついた。      2個のおにぎりはあっという間に実桜の胃袋へ。      その食いっぷりに若い男は呆れたよう苦笑し。       「なんで、そんなになるまで家出続けんだよ」 「あー?」 「松浪に聞いた。お前の実家、かなりの金持ちだって  じゃん」     (あのお喋りデカ……)       「悪い事は言わねぇ、帰れる家があんなら、さっさと  帰って、こんな生活とは縁を切れ」       そう言い残し、ゆっく歩き出す。      実桜はひざ上の手をぎゅっと握り締めた。      (そもそもあたいが孤児になったのは、    そのクソ親父のせいなんだ。    あいつだけは死んでも許さない)       そこへ今度はチャラい感じの男が2人連れで   やってきた。 「相変わらずシケた面(ツラ)していやがんなぁ」 「大きなお世話だ」   (ったく、どうして今日はこう次から次へと    ムカつく野朗ばっか来るんだ……) 「メンツに入れよ。儲けさせてやるぜ」 「んな事いって、いつもカモってるのはどこのどいつ  だよ」 「全ては時の運次第、だろ~。特別にお前なら  掛け金はいつものヤツでいいからさ」 「今日はそんな気分じゃないから」 「OK。じゃ、そんな気分になったらいつでも  来いよ」
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