竜二との出逢い

4/5

66人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
  あてもなくただ歩き回るのにも   少し疲れて植木のブロックの上に座って   煙草をふかしていると変なオヤジが声を   かけてきた。 「―― キミ可愛いねぇ。お名前なんてぇの?  おじさんと"2"でどぉ?」     実桜はギロっと親父を睨んで煙草を   靴でもみ消し、その場から歩き出した。 「おい、なんだ? "2"じゃ不服か?   しょうがねぇなぁ。じゃあ奮発して  "3"出すからさぁ~。待てってぇ~」   (へっ。奮発してもたったの”3”かよ。    話しにならないわ。エロ動画でも見て、    1人でシコってね)   無視して歩き続ける実桜の肩を、   しつこく追い縋った親父がグイッと掴んだ。 「ったく、しつこいな。  酒臭い息で来ないでよ!」   実桜はその手を振り払った。   実桜は軽く振り払っただけなのに、   親父はわざとらしくその場に派手に転倒する。 「あ、いたたたたた ―― やったなぁ。警察呼ぶぞ  警察」   と騒ぎ立てるオヤジ。   周りに野次馬が集まってくる。   実桜は"やばっ"と、足早にその場から   立ち去った。 「こら待て、このくそガキ」   そう言って親父はしぶとく実桜の後を追う。   そんな2人のやりとりを1人の男が見ていた。   髪を後ろに撫でつけ、白のスーツに黒いシャツ。   煙草を道路に投げ捨てると2人の消えて行った方に   歩き始めた。   実桜は親父から逃げながら誘導されるよう   ホテル街の方に入って行き、   それに気づいた時には追いついた親父に   腕をねじり上げられていた。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加