プロローグ

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プロローグ

 4月、それは花々が咲き、希望に満ちた季節だ。   桜並木の中、制服を着た1人の少女が行く。 彼女の名は芳村千秋。高校3年に進級したばかりだ。  たおやかな黒髪のロングヘア、西洋陶器のような白い肌、歩くと揺れるほどの大きな胸、キュと締まっているくびれ、スマートな足……。  そして、道ゆく人、誰もが振り返るほどの色香を持った少女。  それが芳村千秋(よしむらちあき)だ。  ”その美しき外見によらず、性格は極めて乱暴で……” (ちょっと!四十雀(しじゅうから)!あんた、何、私の断りもなく、いい加減なことを書いてるのよ!作者から降ろすわよ!)  『あ、申し訳ございません。お嬢様……。ごほん!話を元に戻させていただきます』  芳村千秋には悩みがあった。 それは彼女自身がサキュバスだからだ。  とりあえず外見が17歳に見えるという理由だけで、女子高生として日常を送っている。     ただ、千秋には家族はいなかった。   いつ間にか、大天使サマエル様のところから転げ落ちてきたから。  待てど暮らせど助けもなく、しかたなく千秋は独りで生活することにしたのだ。     お金?もちろんなかった。     
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