私の祈りと私の願いは世界の底の澱の味

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あなたはどうすれば救われるのだろう (どうか救われてください) あなたはどうすれば笑っていられるのだろう (どうか幸せになってください) そんなことを考える 私の祈りはあなたを救わない 私の願いもあなたを救わない 私の言葉さえ それでも私は 祈ることをやめられない 願うことをやめられない あまりの無力さに 私が言葉を飲み込んでしまっても みっともなく狼狽えたり 身勝手に胸を痛めたりして あなたの傷ついていくさまを 指をくわえてただ眺めている その舌先の痛みを 苦く、ざらりとした 砂のような 黒く、どろりとした 汚泥のような 悲しみとも、悔しさとも、やるせなさとも呼べる 世界の底に溜まる澱の味が胃の底でとぐろを巻く 誰も救わないのに 何も助けないのに 無力の味に噎せる私は 砂を噛む音に耳を塞がれて 今日もあらぬ方向を向いている
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