4  譲渡されたもの

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4  クッションのきいた座席に座り、ミューさんが向かいの席に乗り込み、天井をこつんと叩くと、ゆっくりと馬車が動き出す。  ふう、と背もたれに体を預けると。  三日間の疲労がどっと押し寄せてきた。  ・・・・・・・・・  ちょっと目を閉じただけだと思っていたのに。  気を失うように眠り込んだのかもしれない。  はっ、と気が付くと、街中の石畳ではなく、馬車は緑豊かな田園を進んでいた。 「ここは?」  窓から覗いても、もう王都は見えない。  いつのまに都の外へ出たのかしら。  王都の周辺は、荒れた感じの荒野だったはず・・・郊外にこんな所があったかしら。  見慣れぬ景色に驚いていると、向かいのミューさんが気遣うように言った。 「申し訳ない、お疲れのご様子だったので、説明もせずに転移してしまいました。  もうすぐお屋敷が見えてまいりますよ」 「転移?・・・」  転移って、大変な魔力を使う大魔法ではなかったかしら。 「ここは王都から一つ隔てた国の片隅。  山を越えればもう、隣国との国境の、片田舎でございます」  ・・・え・・・?  ・・・なんだかとんでもないことになっている?  
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