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クッションのきいた座席に座り、ミューさんが向かいの席に乗り込み、天井をこつんと叩くと、ゆっくりと馬車が動き出す。
ふう、と背もたれに体を預けると。
三日間の疲労がどっと押し寄せてきた。
・・・・・・・・・
ちょっと目を閉じただけだと思っていたのに。
気を失うように眠り込んだのかもしれない。
はっ、と気が付くと、街中の石畳ではなく、馬車は緑豊かな田園を進んでいた。
「ここは?」
窓から覗いても、もう王都は見えない。
いつのまに都の外へ出たのかしら。
王都の周辺は、荒れた感じの荒野だったはず・・・郊外にこんな所があったかしら。
見慣れぬ景色に驚いていると、向かいのミューさんが気遣うように言った。
「申し訳ない、お疲れのご様子だったので、説明もせずに転移してしまいました。
もうすぐお屋敷が見えてまいりますよ」
「転移?・・・」
転移って、大変な魔力を使う大魔法ではなかったかしら。
「ここは王都から一つ隔てた国の片隅。
山を越えればもう、隣国との国境の、片田舎でございます」
・・・え・・・?
・・・なんだかとんでもないことになっている?
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