4  譲渡されたもの

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 ・・・馬車で見に行って戻れる距離だと思っていたのに・・・  ・・・転移魔法を使うほど・・・遠くだったの・・・ 『いいか、ティー、考え無しに行動するんじゃないぞ。  手を出す前に、その後どうなるか、よく考えるんだ』  旅先で子猫をひろっておろおろしたり、大好物の果物を買い過ぎて持ちきれないと嘆いたり、私が困ってしまう度に、いつも彼に言われていたっけ。 『まったく、ティーはちょっと目を離すとこれだからなぁ』  そういいながら、一緒に貰い手を一生懸命探してくれた。いつの間にか用意した籠を差し出してくれた。 『勇者』になる前の、二人だけの冒険者だった頃。 「魔王城へ向かわれる、勇者一行がここを通られた際、勇者殿がここをいたく気に入られまして。  国王と交渉され、この土地を求められたのでございます」  勇者に縁えにしのある土地ゆえ、と。 「王はここを勇者殿に贈られ、勇者殿はここをターニア様に譲渡されました。  この土地は正式に、貴方様の所有になるものでございます。  ほら、あちらの丘がそうでございますよ」  見事な枝ぶりの大きな木が一本立っている、小さな丘。  そのふもとに、こぢんまりとした木造の二階家が建っていた。  邸の後ろは大きな森。その向こうには、雪を頂いた山々が見える。 「丘の向こうに、小さな村がございます。  村人に管理を頼んでおきましたので、すぐにでもお住まいになれるはずでございますよ」  その家の前に、馬車は止まった。
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