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勇者の家に知らせの使者がこないとは、いったい誰の手落ちだ!
まさか、まさか勇者である彼が、魔族の手にかかるなど・・・
冒険者時代からの友であり、引退後執事として彼に仕えるようになったヨハンだったが。
その危惧が、焦りが、大きな隙を生んでいた。
「執事の、ヨハンさん?」
呼び止める知った声に、振り向いた、その途端。
逆側から、肋骨の間に滑り込んだ、細身の短剣。
「悪いね、おっさんに恨みはないんだけどさ」
気配遮断を解いた『シーフ』がささやいた。
『僧侶』と二人で、崩れる執事の身体を酔っ払いでも介抱するかのように支え、裏の路地に引きずり込む。
「あんたがいちゃ、『王子』サマの邪魔になるんだってさ」
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