2 差し押さえ

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 ころん、とした体形の、見事な口ひげの中年の男性が、ものすごく変な服を着て、羽根飾りのついた帽子を胸にあてていた。  分厚い錦織の緑のチュニックは、金糸銀糸で縁取りをしたスリットがたくさん入って、下の白い絹のシャツをのぞかせている。丸く仕立てた半ズボン。大きく膨らませた袖。宝石付きのベルト。レースのついた飾り襟。  ものすごく高価そうな、しかしまったく見慣れないおかしな服装のその人は、私がこくんとうなづくと、にかっと笑った。りっぱな口ひげがぴくんと跳ね上がる。 「ひょっとして、ご本人であらせられまするか?」  もう一度うなずく。 「ああ、あの方のおっしゃっていられたとおりの可愛い方だ。  わたくしめはミューtrr%&$rr#"&srrrrともうす者。ただ、ミューとお呼びください。どうぞご別懇に」  凄い巻き舌で、はっきり聞き取れない、変わった名を名乗ったその人は、深くお辞儀をして続けた。 「わたくしは亡き勇者殿から・・・」  悲し気に声が割れ、ごほんと咳払いして、言い直す。  気が付けば、豪華な服の左袖に大きな黒い喪章が結ばれていた。 「亡き勇者殿からの言付かりものを預かってまいりましたのです」     
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