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この朝も麻子は「眠れない夢」を見ていた、と思い当たった。以前から何度も眠れないで苦しんだことは、しっかり脳に刻み込まれている。
眠れないと、ドクタに告げれば薬が処方される。
あなたは、眠れない病気です、と。すみやかに病人のカテゴリに分類される。
病人のカテゴリに属することはさらに自己を虐げる。
トラウマというものだろう。
そのトラウマがますます不眠の悪循環に寄与しているわけだ。
枕元の時計を見て、4時間なら大丈夫だろう、と起き上がる。
昨晩、というかこの日の未明というか、明け方かにやっと眠りについたのである。
眠れない夜を過ごしても、決して寝坊はしないことにしている。たとえ人工の光であろうとも、日中の光を浴びることも、不眠症には大切なことなのだろうから。
それにこの日は仕事が入っていた。
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