先輩、その顔いただきます

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 カシャッ! 「え」  不意に鳴ったシャッター音に、思わず振り返った。こちらにレンズを向けているのは同じ写真部の一年上の先輩だ。 「その顔もらった」  戸惑う私に、先輩は真っ白な歯を見せて笑った。  昨日から降り始めた雪は深夜になって本格的に降り、学校へ行こうと家を出たときには辺り一面銀世界だった。枝に降り積もった雪をバックに、早咲きの梅を写真に収めようと人けのない校舎裏にやって来たけど。まさか先輩が来るとは思ってもいなくて。 「あっ……あ、の…………」  抗議しようと勢いよく出した声が、真っすぐに見つめてくる先輩の視線にどぎまぎして尻すぼみしてしまう。 「何? 俺のことも撮ってくれるの?」 「こ、困ります……っ!」 「何が困るの? ……ああ、写真? 凄くいい顔してた」  身に余る賛辞に、顔から火が噴き出したかのように火照った。  私なんか地味だし、全然可愛くないし、ド近眼だからいつも眼鏡だし、おまけに口下手だし。それに比べて先輩はファンクラブができるほどイケメンだし、物凄く背が高いし、誰にでも優しいし、写真だって何度も賞を取るほどうまいし。そんな先輩に、いい顔してたなんて言われたら、嬉しくて泣きそうになる。
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